令和元年度卒業生、修了生への学長告辞
卒業生 修了生 各位
このたび学士、修士、博士の学位を授与された1,577名の卒業生、修了生の皆さん、佐賀大学を代表して心からお慶びを申し上げます。本学に入学してこの3月を迎えるまで、皆さんは真摯に勉学に勤しみ、見事に学位を取得されました。
このめでたき日を迎えるにあたり、これまで皆さんを物心両面から支えてこられたご家族の皆様にも、お祝いとお礼を申し上げたいと思います。また、平素からご支援いただいている佐賀大学同窓会をはじめとする関係者の皆様、そして本日に至るまで、学生の成長を見守ってくださった全ての皆様に、心から感謝を申し上げたいと思います。
さて、既に発表しましたとおり、日本国内で急激な感染拡大を続ける新型コロナウイルスの影響を考慮し、本日挙行予定の学位記授与式を中止致しました。同輩や家族と喜びを分かち合い、大学生活の節目を共に祝福したかったと思いますが、学生及びご家族の皆様の健康を第一に考えてのこととご理解いただきたいと思います。
皆さんの卒業、修了に際し、私からお伝えしたいことが2点あります。
1つは、これからは将来予測が困難になってくるということです。第4次産業革命の只中にある世界では、IoT技術の進歩により社会構造が変化の兆しを見せ、私たちが幼いころに夢見た未来の世界が現実のものとなろうとしています。各国の学術機関や企業で研究が進められているロボット化の進展により、私たちの生活様式は予想を超えて劇的に向上することでしょう。皆さんにはそうした予測し難い未来においても、これまで先人達があらゆる苦難を乗り越えてきたように、恐れることなく歩みを進めてほしいと思います。
もう1つは、皆さんの研鑽の日々が色褪せることは無いということです。
皆さんが佐賀大学で培った学ぶ力は、一人一人の心身にしっかりと蓄えられています。本学で学んだ内容そのものが、この先何十年と通用するものではありませんが、予測困難な将来、新たな課題に直面したとき、それを解決出来る力を身につけていることは間違いありません。
皆さんには本学での学びを糧に、変化し続ける社会の中でも冷静に物事の本質を捉え、それぞれの進路で活躍することを期待しています。また、それだけの研鑽を積んだと判断され、学位を授与されたということを忘れないでください。
結びに、大学生活を共有した同輩・恩師との絆は、生涯を通じて皆さんの支えとなり、大切な拠り所となるでしょう。それはこれまでご家族が貴方を支えたように、どんな逆境に立たされても貴方に寄り添うかけがえのないものと言えます。今日という日の感謝を忘れず、どうぞ大切にしてほしいと思います。
これからも、学生生活を通して成長した自分自身を信じて、自らの目標に向かって研鑽し続けることを祈念致します。
令和 2年 3月24日
国立大学法人佐賀大学長 兒 玉 浩 明