令和2年度国立大学法人佐賀大学学位記授与式式辞
今日,ここに,学位を授与された1,550名の卒業生,修了生の皆さん,佐賀大学を代表して心からお祝申し上げます。おめでとうございます。卒業・修了の日を迎えることになった皆さんは,入学以来,真摯に勉学に励み,様々な困難に打ち克ち,本日学位を授与されました。
また,今日この日を迎えるに当たり物心両面から支えてこられたご家族の皆様,そして同窓会をはじめ,ご支援いただいた全ての皆様に,心よりお祝いとお礼を申し上げます。長年のご苦労が報いられたものと推察申し上げます。誠におめでとうございます。
また,遠く母国を離れ本学で学ばれた留学生の皆さんは,言葉や習慣の異なった困難な環境の中で研鑽され,見事学位を取得されたことに心からの敬意を表します。
本日は新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえ,このような形で学位記授与式を挙行することといたしました。本来なら,友人や家族と喜びを分かち合い,大学生活の節目を共に祝福したかったと思いますが,皆さんの,そしてご家族の皆様の健康を第一に考えてのこととご理解いただきたいと思います。
さて,これから皆さんは,それぞれが選んだ新たな進路に進まれます。新しい環境の中で,新たな出会いや仕事に打ち込むことに胸をはずませていることでしょう。これからも今の気持ちを忘れることなく,常に高い志と目標を持ち続けて下さい。
しかし,一方で現代社会は,第4次産業革命やSociety5.0,デジタルトランスフォーメーション(DX)といった科学技術,特にデジタルサイエンスの目覚ましい発展とともに,SDGs,グローバル化の進展,新型コロナウイルスの世界的流行を契機としたニューノーマル時代の到来といった,生活様式や行動様式の著しい変化等,予測困難な時代を迎えようとしています。また,皆さんが想像している以上に社会には大変な厳しさ,困難さが待ち受けています。日々の暮らしの中でそうした厳しさ,困難さに直面して失敗や挫折,後悔を経験することもあるでしょう。
そんな時に皆さんには何ができるのか,何をすべきなのか。それは,目の前の仕事や課題の一つ一つに向き合い,努力を続けることに他なりません。それは何も大きなプロジェクトや事業を成功させるような壮大なものだけでなく,自分に求められている,日々の仕事や課題を着実にこなしていくということ,つまり,やるべきことに懸命に取り組むということです。
困難な状況にあっては,それらは気が遠くなるような,とても大変な作業と感じるかもしれませんが,少しずつでも懸命に取り組むことが大切です。
日々の小さな積み重ねを繰り返す姿勢は,次第に周囲の共感や協力を生み,少しずつかもしれませんが困難な状況を好転させてくれます。その中で,皆さんは自信を取り戻し,次第に周囲からの信頼も得て,一歩ずつですが,確かな成長を遂げることができるでしょう。
そして成長した自分を基礎として,その先にある未来への新たな道が開かれます。また,そのことを通じて失敗,挫折,後悔の日々だった過去でさえも,自分が成長するために必要なものであったと受け入れることができるようになるでしょう。
“今”この瞬間にやるべきことを懸命に頑張ることは,未来を創り,そして過去をも変えることです。
佐賀大学で過ごした日々は皆さんにとって,かけがえのない財産です。皆さんは,佐賀大学で培った力,経験した様々なこと,友人,恩師や職員との出会いと繋がりを通して,これから先,困難に直面しても乗り越えるだけの十分な力を既に身に付けています。
最後に,私は皆さんの門出に当たり「志,挑戦,そして未来へ」という言葉を贈ります。
“今”この瞬間を大切にして,志をもって挑戦を続けて下さい。そして,皆さんが真の社会人へと成長して,今思い描いている未来で大きく羽ばたき,活躍することを祈念して学位授与の式辞とします。
令和3年3月23日
国立大学法人佐賀大学長 兒玉 浩明