令和2年度国立大学法人佐賀大学入学式学長告辞
佐賀大学では,新型コロナウイルス感染症の世界的な流行を受け,令和2年度の入学式は中止といたしました。皆さんは既に昨年4月から大学での新生活をスタートさせ,授業や課外活動等,様々な活動を経験していると思います。大学への入学は,人生の節目の一つでありますので,本日,改めて入学式を挙行することとしました。
1,661名の皆さん,そして,本学で学ぶため海外から留学してきた皆さん,入学おめでとうございます。佐賀大学を代表して,心から歓迎します。また,これまで物心両面から支えてこられたご家族の皆様,そして関係者の皆様にも心からお祝い申し上げます。
佐賀大学は,明治17年に創設された佐賀師範学校を母体とし,旧制佐賀高校及び佐賀青年師範学校との統合によって昭和24年に設立されました。その後,昭和51年に開学した佐賀医科大学と平成15年に統合し,さらに平成16年の国立大学法人化を経て,現在の教育学部,芸術地域デザイン学部,経済学部,医学部,理工学部,農学部の6学部・6研究科体制となり,佐賀県唯一の国立大学として教育・研究・社会貢献活動を展開しています。
県内に本庄,鍋島,有田の3キャンパスを有し,美術館,附属病院,附属学校,専門分野を研究する各研究センターを設置するなど,地域社会の要請に応え,地域に根差し,地域と共に未来へ向けて発展し続ける大学づくりを進めています。
さて,皆さんは昨年4月に大学生としての第1歩を踏み出されました。大学とは皆さんが社会人として社会へ羽ばたくため,更にはその後の人生を通じて,人間として成長していくための土台を作る場所です。
現代社会は,第4次産業革命やSociety5.0,デジタルトランスフォーメーション(DX)といった科学技術,特にデジタルサイエンスの目覚ましい発展とともに,SDGs,グローバル化の進展,新型コロナウイルスの世界的流行を契機としたニューノーマル時代の到来といった,生活様式や行動様式の著しい変化等,予測困難な時代を迎えようとしています。
そのような時代を生きていくためには,自分の専門分野を学修することだけでなく,異なる分野の勉強にも積極的に取り組み,幅広い学力を身に付けることが必要です。また,課外活動や地域活動などへの参加を通じて,様々な人々との交流も深めて下さい。その中で研鑽を積み,自ら考え,行動する力,広い視野で物事を見る力,豊かな表現力といった多様な力を身に付けていってほしいと思います。
さらに,皆さんには,大学生活を通じて,大きな志を持ってほしいと思います。目指すべき職業,自己の能力向上,人間的な成長。目的はどのようなものでも構いません。是非,皆さん一人一人が高い志を持って下さい。そして,大切なことは,その志を実現するための一つ一つの努力を決しておろそかにしないということです。皆さんがこれからの大学生活の中で直面する全てのやるべきことに正面から向き合い,「これでいいだろう」でなく,「これでもか」と懸命に努力を重ねる。そうすることで,日々,人間的に成長していく新しい自分に出会えることでしょう。
皆さんは,コロナ禍という,これまでに経験したことのない状況の中で大学生活をスタートさせ,この1年間は,まさに暗中模索の状況であったと思います。しかし,コロナ禍の苦しい時期を経験したことは,皆さんの人間的な強さに繋がり,他人の気持ちを理解し,思いやる上で,とても貴重な経験になると思います。この経験をこれからの大学生活に活かして下さい。
そして,大学は皆さんを大学生活の全般に渡り全力でサポートしています。各種相談窓口,奨学金等の生活支援,チューター制度といった教育上のサポート等,様々な取組を通じて教員,職員をはじめ,多くの人達が皆さんを支えています。分からないこと,困ったことがあれば,一人で悩まずに相談して下さい。
最後に,私から皆さんへ「志,挑戦,そして未来へ」という言葉を送ります。志とそれを実現するための挑戦と努力こそが皆さんの未来を切り拓いていってくれます。時に大きな困難に直面するときもあるかもしれませんが,歩みを止めることなく,着実に未来へ向かって進んでいって下さい。
令和3年4月2日
国立大学法人佐賀大学長 兒玉 浩明