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令和6年度国立大学法人佐賀大学学位記授与式式辞


今日、ここに、学位を授与された1,565名の卒業生、修了生の皆さん、佐賀大学を代表して心からお祝いを申し上げます。卒業・修了の日を迎えた皆さんは、入学以来、真摯に勉学に励み、様々な困難に打ち克ち、今日、学位を授与されました。また、遠く母国を離れ、本学で学んだ留学生の皆さんは、言葉や習慣の異なった困難な環境の中で研鑽を積み、見事学位を取得されました。このことに心からの敬意を表します。

そして、今日この日を迎えるに当たり、卒業生、修了生を物心両面から支えてこられたご家族の皆様、同窓会をはじめ、ご支援いただいた全ての皆様に、佐賀大学の教職員一同、心からお祝いとお礼を申し上げます。立派に成長し、社会へ巣立っていく姿に感慨もひとしおではないかと拝察いたします。

さて、皆さんは、新型コロナウイルス感染症がまだ世界的に猛威を奮っている時に入学されました。大学生活のうち半数近くは、遠隔での授業、課外活動の制限、マスクの着用、手指消毒など、ニューノーマルといわれる生活環境のもと、多くの制約がかかる中での大学生活となりました。あまり大学にも通えず、友人を作る機会も少ないなど、入学前に想像していた学生生活とは違ったものになったかもしれません。しかし、コロナ禍で苦しい時期を経験したことは、皆さんの人間的な強さに繋がり、他人の気持ちを理解し、思いやる上で、とても貴重な財産になるものと信じています。

コロナ禍を経験したことで皆さんも感じたことだと思いますが、今の平穏な日常は、決して当たり前のものではありません。世界に目を向けるとロシアのウクライナ侵攻や中東のパレスチナ紛争などで多くの尊い命が失われ、日本を含め世界各国に大きな影響を与えています。昨年、日本被団協がノーベル平和賞を受賞されましたが、恒久の平和の実現は人類共通の願いです。紛争地域の一日も早い解決が望まれます。一方、AIやデジタルトランスフォーメーションなどのデジタルサイエンスの目覚ましい発展、カーボンニュートラルの実現に向けたグリーントランスフォーメーションなど、我々の想定を超えた速さで世界は変わっています。特にAIの分野ではその傾向が顕著に表れ、2024年にノーベル物理学賞と化学賞がAIを用いた研究に贈られるなど、人類進歩の可能性が広がる半面、生成AIによるリスクが顕在化するなど、その存在が大きくクローズアップされています。今後ますます日常生活にデジタル技術が溶け込んでいくことで、人間の思考や行動が変化することはもとより、そう遠くない未来では社会の中で人間が果たすべき役割が根本的に変わってしまうのではないか、と感じずにはいられません。まさに社会は、予測困難な時代への転換期にあると言えます。

このような状況の中、社会に羽ばたいてゆく皆さんに三つのことを伝えたいと思います。


1.目標を定め、目の前のことを全力で

一つ目は、自らの目標を持つことの大切さを改めて認識してほしい、ということです。目標を決めることで自らの進むべき方向が明確になるだけではなく、他人の評価など気にすることなく、夢中に、そして徹底的に取り組むことができます。何より楽しくチャレンジすることができるのではないでしょうか。そして、大事なことは、まず行動してみる、ということです。他の人にできて、皆さんにできないことなどありません。実現可能性が小さいようでも、行動した先にはきっと新たな景色が見えてくるはずです。しかし、皆さんが想像している以上に社会には厳しさ、困難さも待ち受けています。自分の思いとは裏腹に失敗や挫折、後悔を経験することもあるでしょう。そのような時に大切にしてほしいことは「目の前のやるべきことを全力でやる」ということです。たとえ不本意なことであっても、目の前のことに全力で取り組めない人には、自らの目標を達成し、夢を掴むことなど望めません。遠回りなようであっても、小さな努力の積み重ねは、周囲の共感や協力を生み、少しずつかもしれませんが困難な状況を変えていってくれます。そうして、一歩ずつ確かな成長を遂げ、その成長を基礎として、未来への新たな道が拓かれます。


2.相手の立場に立って考えてみる

二つ目は、相手の立場に立って考えてみる、ということです。

社会に出ると、皆さんはこれまで以上に自分とは違う考え、時には受け入れがたい考えなどに多く接することでしょう。人は、ややもすれば、自分の考えを他人に押し付けがちで、真に他者と協働することは難しいものです。皆さんは自分の考えに基づいて物事を見ていますが、社会は様々な人や文化、制度などの要素が相互に影響し合って成り立っています。そのため、物事を自分だけの考え、すなわち一方的な見方だけをしていても上手くはいきません。社会的な問題などに目を向けてみても、そこに内在している課題は、必ずしも善と悪といった単純な対立構造で捉えられるものばかりではありません。地理的、歴史的な要因や文化的な要因など、多様で複雑な問題が横たわっていることもあります。

相手の立場に立って考えてみると、今まで見えていなかった、物事の別の一面が見えることがあります。多くの経験を通して様々なものの見方や価値観を理解することで、自らの中に多様性や包摂性が育まれ、視野が広がることでしょう。視野の広がりは、皆さんの行動を変え、ひいては本当の意味で他者との関わりや協働、信頼関係の構築を実現してくれます。


3.強く、優しい人間になるために

三つ目は、感謝の気持ちと思いやりの心を持つことです。今こうして社会人としてのスタートラインに立つことができているのは、皆さん一人ひとりの努力もさることながら、周囲の人達の支え、励ましがあったからこそです。家族、友人、教職員、同窓会、地域社会。様々な人達が皆さんの支えとなってくれています。その方々への感謝の気持ちを忘れないようにして下さい。そして、社会人として、これから日々成長していく過程では、その成長を自分のためだけではなく、周りの人達へも向け、今以上に強く、優しい人間になって下さい。


「志、挑戦、そして未来へ」

佐賀大学で過ごした日々は、皆さんにとってかけがえのない財産です。佐賀大学での教育を通じて、皆さんの中には、「基礎的な知識と技能」、「課題発見・解決能力」、「個人と社会の持続的発展を支える力」を基盤とした、社会の変化に翻弄されない「しなやかな知性」と「自ら考え、挑戦する行動力」が備わっています。佐賀大学で培った力、得られた経験、友人、恩師や職員との出会いと繋がりを大切にして、未来へ向けて着実に歩みを進めて下さい。人生とは、1日1日の積み重ねでできています。今日という1日を大切にするからこそ、明日という未来が生まれてくる。過去にとらわれたり、ぼんやりと未来を想像するのではなく、毎日を大切に過ごして下さい。

最後に、私は皆さんの門出に当たり「志、挑戦、そして未来へ」という言葉を贈ります。“今”この瞬間を大切にして、志をもって挑戦を続けて下さい。皆さんが真の社会人へと成長して、思い描いている未来へ大きく羽ばたき、活躍することを祈念して学位授与の式辞とします。



令和7年3月24日
               国立大学法人佐賀大学長   兒玉 浩明

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