平成17年度(9月期)学位記授与式 式辞
ただいま、副学長、各学部長兼研究科長はじめ、職員の列席の中、平成17年度9月期の佐賀大学の学位記授与式が行われ、学士17名、修士16名、博士25名にそれぞれ学位記を授与いたしました。
皆さん、本当におめでとうございます。心よりお祝いを申し上げます。
また、学位記を授与された皆さんを今日まで親身になってご指導・ご支援くださった先生方、職員、家族・支援者の方々にも感謝申し上げます。お疲れ様でした。
本日、修士と博士の学位を授与された皆さんの国籍は、中華人民共和国(7) 、バングラデッシュ人民共和国(5) 、スリランカ民主社会主義共和国(1) 、インドネシヤ共和国(1) 、大韓民国(4) 、タイ王国(3) 、ネパ-ル王国(3) 、メキシコ合衆国(1) 、日本を含めて9カ国に及びます。9月期の学位授与式は本学の国際化の象徴です。
さて、皆さんは今日を一つの区切りとして明日から新しい人生を築いて行くことになります。皆さんを迎え入れる社会は、環境・エネルギ-問題、人口問題、食糧問題など数々の解決すべき諸問題を抱えています。それらに挑戦し克服するために、皆さんは佐賀大学で学び修得した高度な知識、技術を一層深め、広げる必要があります。ここ10数年の日本の高等教育は「問題解決能力」の教授に重点を置いてきました。皆さんは、卒業論文、修士論文、博士論文の作成過程でその能力を培ってきました。今後、皆さんは問題そのものを設定する「問題発見能力」を自ら修得する修練を積むことになります。問題を見出し解決して始めて皆さんは一人前の研究者、高度技術者なったと言えます。
問題発見能力を身に付ける万能薬はありませんが、最近考えているところを皆さんに紹介いたします。参考にしていただければ幸いです。先ほど述べました環境・エネルギ-問題等の世界的な課題は、世界的であるためにそれぞれの国ごとに、地域ごとに、至る所で様々な現れ方をします。皆さんは課題の様々な側面の一つを観測してそれを分析することになります。分析とは現象を様々な専門分野の問題に分解して捉えることです。問題発見、設定の鍵はここにあると思っています。「高度な知識と技術を一層深め、広げる」ことの意味はここにあります。分析の結果して得られた知識、技術を如何に組み立てるによって解決すべき問題が把握できると供に解決の道筋も見えてきます。また、さまざまな課題に際して発見と解決を繰り返す過程を通じて専門分野の融合と連携を超えた新しい学問体系の誕生も期待されます。
21世紀は学問が飛躍的に進歩する世紀です。そして、21世紀は人類そのものの存在が問われる世紀です。皆さんの知恵と工夫で、新しい時代を、新しい社会を、創造してくださることを期待して、お祝いの言葉といたします。
平成17年9月22日
佐賀大学長 長谷川 照