「佐賀大学中長期ビジョン(2008~2015)」は,佐賀大学憲章に基づき本学の目指すべき方向性とその方策を示すものであり,第1期中期目標期間に取り組んできた大学改革の成果を踏まえて本学の将来を展望している。
平成19年度は,法人化後4年を経て,第1期中期目標・中期計画(2004~2009)に対する評価がほぼ定まる年度である。この間,法人制度への軟着陸を指導原理として,本学は次の二つの観点から大学改革を進めてきた。
第一の観点は,従来教員個々の裁量に任されてきた大学の三つの使命-教育,研究,社会貢献-の全学的・組織的な取り組みの強化である。教育課程ごとに教育の目的を明確にし,授業内容,教育方法の改善に努めてきた。研究面では,海洋エネルギーの先端的研究,有明海の再生を目指す有明海総合研究プロジェクトや「佐賀の大学」を象徴する地域学歴史文化研究センターの開設に全学を挙げて取り組んできた。さらに,県民・市民の信頼に応える病院を目指す医学部附属病院改革,佐賀大学TLOの設置を契機に再編新設した産学官連携推進機構など,意識と制度の両面から社会貢献活動の改革を推進してきた。
第二の観点は,「大学の経営」に対する意識改革の推進である。本学は,佐賀大学憲章を制定して,佐賀大学の建学の精神・理念を明らかにし,佐賀大学が存在する意義を学内外に問うてきた。大学経営の要諦は,学生にとって魅力ある大学であり,地域と共に発展する大学を創り上げることである。
佐賀大学学則第2条では,育てる学生像について「国際的視野を有し,豊かな教養と深い専門知識を生かして社会で自立できる個人を育成する」と規定している。中長期ビジョンの策定にあたって,教育機関としての大学の原点に立ち返り,教養教育を人間形成の中心的な役割を担う教育の根幹と位置づけ,学士課程から博士課程まで教養を体系的に身につける高等教育を目指すこととした。この新たな教育構想は,中長期ビジョンの全体を貫く脊柱を形成する。
本中長期ビジョンは,大学の三つの使命を着実に遂行する教育実施体制,研究実施体制,社会貢献体制の構築とこれらの体制を支える三つのマネジメント力-人材の確保と活用,キャンパス環境の整備,財政基盤の確立-の強化を目指している。
本学は,この中長期ビジョンを平成22年度から始まる第2期中期目標期間(2010~2015)における大学改革の指針とする。
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